加工方法、多種多様に
切断機やベンダー(曲げ加工機)、端末加工機は、パイプや板・棒材などを切る、曲げる、絞る、といった加工を施し、加工対象物(ワーク)を任意の形状に仕上げる各種機械。こうした加工機には高速化や高精度、効率化などが求められている。 加工機メーカーの中には、曲げ加工機と前後の工程に必要な設備を組み合わせて販売。作業工程を一貫してサポートし現場の効率化を支えている。 <日刊工業新聞 2023年5月12日掲載>
切断機やベンダー、端末加工機は自動車や産業機械、建築、半導体、空調機器などの幅広い業界のモノづくりを根幹から支えている。切断加工は刃物やプラズマ・アーク切断、ウオータージェット、レーザー、ガス切断、プレスによるせん断などの加工方法がある。このうち、プラズマ・アーク切断は通電する素材はほぼ加工できる。厚みのある金属にも対応でき、切断面の変形や、融解による影響が少ない。レーザー加工は熱影響が少なく、薄銅板の精密切断などに適している。現場ではワークの用途や工程によって各種切断機が活躍している。メーカーの中には、多様な加工法の切断機を取り扱い、それぞれの切断加工の強みを生かした提案を行い、幅広いニーズに応えている。
一方で、加工機を取り巻く市場環境をみると、国内では回復傾向にある。日本工作機械工業会(日工会)が発表した2022年度の工作機械受注額(確報値)は、前年度比2・3%増の1兆7056億2300万円となり、2年連続で増加した。
内需は同2・7%増の5816億6700万円で、2年連続の増加となった。外需は同2・1%増の1兆1239億5600万円と、3年連続で増加。外需は2年連続で過去最高を更新した。今後も工場の自動化などへの需要が期待される。
現場の効率化に貢献
曲げ加工は板材を任意の角度に曲げたり、丸めたりする。曲げ加工を施したワークは自動車の触媒コンバーターやモーターのケース、空調機器などに活用されている。
加工法はロール曲げ加工やプレス加工などがある。プレス加工は金型の形状を工夫し複雑な形状にも対応する。曲面加工にはロール曲げ加工が適している。曲げ加工機には高精度や歩留まりの向上、作業効率化などが求められている。
あるメーカーではロール曲げ加工機と前後の工程を組み合わせた販売を強化している。ワークの供給や加工後の溶接設備のほか、前工程の一つである端曲げ加工を担うプレスブレーキとのセット販売も進めている。
同社は板の両端をロール曲げする端曲げ加工機能を搭載した加工機も展開してきた。一方で、板材の厚さや大きさによっては同機能を搭載していても十分に端曲げできないことがあり、顧客側でプレスブレーキを用意して別途、端曲げする必要があった。こうしたニーズを背景に、プレスブレーキをラインアップに追加し、ロール曲げ加工機とセットで売り出した。
顧客の要望に応じて一貫した加工工程を対応し、現場の作業効率化に貢献している。