プレス機械と金型の「ダイハイト」、 具体的にはどこの高さ?

プレス機械のダイハイト

  • 図1 プレス機械のダイハイト
    図1 プレス機械のダイハイト

 プレス機械のダイハイトとは、スライドを下死点まで下げた状態でスライド調節を上限まで上げたときのスライド下面とボルスタ上面の距離のことを言う(図1)

  • 図2 ダイハイトと⾦型の取付けの可否
    図2 ダイハイトと⾦型の取付けの可否

なお、ボルスタが乗っている部分をベッドと言い、スライド下面とベッドの距離をシャットハイと言う。プレス機械のダイハイトより高い金型は取付けができないためプレス機械の選定において重要な項目の1 つである(図2)

 ダイハイトが大きいと金型のサイズにかかわらず使用上融通性があり、使い勝手がよいように思えるが、ダイハイトに対して小さすぎる金型の取付けでは厚いスペーサを必要とする。また、生産スペースやプレス機械が高価になるなどの問題も想定されるため金型のサイズに合った必要最低限のプレス機械を選定する方が良い。

金型のダイハイト

  • 図3 ⾦型のダイハイト(DH)
    図3 ⾦型のダイハイト(DH)

 金型の組立図には、設計時に各プレート部品の厚みや材料の厚みなどから製品を打ち抜く高さが計算され、その数値が記入されている。これを「金型のダイハイト(DH)」と言う(図3)。プレス機械のオペレーターは、この値を参考にプレス機械のダイハイトを調整し金型段取りを行う。

 また、抜き金型は一定のショット数を行うとパンチやダイが磨耗するため再研削などのメンテナンスが必要になる。メンテナンスを行うと金型の

ダイハイトは基本的に低くなり、組立図の値と差異が発生するためメンテナンス回数や再研削量がわかるよう履歴を残す必要がある。

執筆者:北陸職業能力開発大学校 生産技術科講師 角 有平

出典:プレス技術 2023年4月号