「ノックアウトバー」は何のためにあるの?
うまく作動させるための機能と仕組み
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図1 逆配置の深絞り型
ノックアウトバー(かんざし)は、金型に食付いた製品を金型の外に排出する為に使うものである。ただし、ノックアウトを使用する場合は、金
型にもノックアウトバーを使用するための機能を持たせる必要がある。
ノックアウトバーは、図1に示すような逆配置の深絞り型などよく用いられる。金型においてノックアウト装置を構成する部品には、製品を押し出すためのノックアウトパッド、ノックアウトバーと「ノックアウトパッド」を連動させるための「ノックアウトロッド」がある。プレスにノックアウトバーが装着されていても、金型がノックアウトバーを機能させるための装置が金型になければ、ノックアウトの機能を正しく使うことはできない。
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図2 ノックアウトバー
図2にプレス機械のノックアウト装置の写真を示す。製品が金型に食付いた状態のままスライドが上昇するとプレス機械のノックアウトロッドがノックアウトバーをたたき、それに連動して金型内の製品を排出するように動作するのである。
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図3 ノックアウトの動作イメージ
図3にノックアウトの動作イメージを示す。図3 ①のように、金型内に製品が残っていなければ、プレスが上死点の位置にきてもプレス金型
のノックアウトロッドの先端は、ノックアウトバーに当たらない。しかし、金型内に製品が残留すると、ノックアウトパッドが押し上げられた状
態となり、金型のノックアウトロッド先端がノックアウトバーに当たる。軽い製品の喰い付きであれば、ノックアウトバーの重みで製品は金型の外へ押し出される。喰い付きが強い場合は、プレス機械のフレームに取り付けられたストッパが、スライドが上死点付近に来た時にノックアウトバーに当たるように調整すれば、プレス機械のストッパがノックアウトバーに当たると金型のノックアウトロッドを中継して金型のアウトパッドが強制的に下げられる。それにより、ダイに食付いていた製品がダイの外へと排出されるのである。
執筆者:北陸職業能力開発大学校 教授 中杉 晴久