製品品質大きく左右

 工作油剤・クーラントは金属の切削加工をはじめ、多様な製造現場で活用されている。加工によって発生する熱を冷却して焼き付きを防ぐほか、切りくずの除去にも欠かせない存在で、加工の効率化だけでなく、生み出す製品の品質をも大きく左右する。 <日刊工業新聞 2023年7月12日掲載>

 工作油剤は鉱物油(ベースオイル)を主成分とする不水溶性油剤と、ベースオイルと各種添加剤とを水で希釈して用いる水溶性油剤に大別される。モノづくり現場では近年、加工の高速化が求められ、切削加工を中心に冷却性能に優れる水溶性油剤の利用が進んでいる。水溶性油剤はその冷却効果から一般的にクーラントとも呼ばれ、油成分の使用絶対量が少なく、発火の危険性がない上、オイルミストもほとんど出ないため、作業環境の改善につながる。

 さらには、優れた耐腐食性を持つバイオスタティックタイプなどの製品も数多く市場投入されている。強アルカリ性電解水などを用いてバクテリアなどの繁殖を抑制。加工品質向上や油剤の長寿命化のほか、悪臭の発生も防げる。

 また複数の工作機械に必要なクーラントを自動生成して供給する装置などもあり、製造現場の働き方改革や無人化、省人化に向けた導入提案が活発化している。