高品質・高精度なモノづくり支える
11月25日は「金型の日」。日本金型工業会は内外に対する金型工業の認識を深めるとともに、今後の金型業界の発展を期するため、工業会の創立記念日を「金型の日」と定め、例年記念式典を実施している。 <日刊工業新聞 2022年11月25日掲載>
成形・加工のマザーツール
金型はプラスチック成形や金属プレス加工には欠かせないマザーツールだ。金型を製作すれば、同じ品質のものを安定して作ることができるため、量産性に優れている。高度な金型技術が高品質・高精度で安定したモノづくりを支えている。
日本金型工業会の調べによると、2021年の需要業界別の生産金額構成比は、自動車用が73・5%と、1番多く占めている。
国内の金型業界の8割は従業員数が20人以下の中小・零細企業が占める。20年の市場規模は金型業界全体で約1兆2000億円と推定されている。
一方、従業員30人以上の事業所のみの21年の国内の金型生産は数量が48万4277組で前年比100・17%、金額が3442億円で前年比96・05%だった。金型生産額の推移を見ると(グラフ)、リーマン・ショックで大きく落ち込んだ後、緩やかに回復続けてきたが、17年をピークに4年連続で少しずつ減少しているのが分かる。
「金型取引ガイドライン」9月作成
金型を巡る産業界の大きな課題が金型取引の適正化だ。日本金型工業会は9月に「金型取引ガイドライン」を作成した。ガイドラインは「金型代金支払について」「金型図面・加工データ等知的財産について」「改造・修理・メンテナンス・設計変更」「賢い金型発注方法(パートナーシップの構築)」の四つのテーマについてまとめている。
「金型代金支払について」では、代金支払い期日の起算日は検収日ではなく納品日であることや、金型は転売できないオーダーメード品で納期が長い製造品のため、海外では前払いであること、手形で支払う際の注意点がまとめられている。
金型取引におけるさまざまな問題について、このガイドラインを活用してもらい、金型取引の適正化に理解を求めていく。取引先の理解と協力を得ながら、サプライチェーン全体の付加価値向上などを目指す。